祖父の手紙
名古屋市中区の福澤内科・皮フ科クリニックの皮膚科医 福澤加奈子です。
新型コロナウイルスの影響で例年とは全く状況の違うGWでしたね。
外は5月でキラキラしているのに未来が描けず憂鬱な気分の方も多いかと思います。
私もその一人で、最近は仕事で緊張を強いられるため、笑うことが少なくなっていました。
そんな時、祖父が私に残した置物と手紙が出てきたと実家から電話がありました。
そこにはこんな言葉が書いてありました。
人間の慾望には限りがない。格好の良い事に心を奪われるよりも何事にも誠意を以って当り誰にも迷惑、心配を掛けないで他人の成功を嬉んで上げる人間に成る様、難しいが努力し自分の現在に満足し感謝して日々暮らされたし。
(人生は心の持ち様だ)
若い内より健康に留意するは基より運命を急変する交通事故に特に気を付けて、折角與えられた一生を楽しく全うする様に祈ります。
昭和55年8月17日
65才 富三記す

40年近く経ってこの手紙が出てきたのは、祖父から今の私へのメッセージなんでしょうか。
昔の交通事故が今であれば事故に加えて新型コロナウイルス感染症であるのかもしれません。
小学生の私では到底理解できなかっただろう言葉を一つ一つ噛み締めています。
長者町は繊維の街で祖父はこの長者町で足袋の販売をしていました。
時代の流れと共に商売が変化するのは仕方ないのですが、今回のパンデミックにより街は一変しています。
17年前にクリニックのビルを借りて開業しようとした時には金融機関から潰れますよ、と言われびっくりしたものですが、確かにその後リーマンショックがあった時は、一時OLさんが消え事務所が移転して昼間人口が減りました。
店舗も次々変わったり、駐車場もできたり急になくなったり、長く営業する事が難しい場所でもあります。
でも、色々あっても街は形を変え何度も再生を繰り返してきました。
私は子供の頃から見てきたこの街にとても愛着があります。
昼間に働いている方にとって便利なクリニックでありたい、長いお付き合いの住民の方はご希望があれば往診やご自宅での看取りなど何かお役に立ちたい、と思っています。
現在この地域で商売、飲食業をする方にとって今回の休業要請は死活問題です。
通常は在宅業務で、時々は出社ができる皆様、是非会社近くの飲食店のテイクアウトを購入してあげてください。
私達も頑張りますので、何とか新型コロナウイルスが収束するまで地元のお店の営業が続けられますように。
これから冬に向かって新型コロナウイルスが消えてしまうことはなく、インフルエンザウイルスのように身近に存在する中で暮らしていくことになるでしょう。
気が重くなりがちの毎日ではありますが、皮膚科で疥癬という病気に使うイベルメクチンという薬や、円形脱毛症に使うセファランチンという薬が他剤とのコンビネーションにより新型コロナウイルスに効くかもしれないという発表があり、皮膚科医としてはとても期待をしているところです。
まだ皆様に提供できる薬やワクチンが手元にありませんので苦しい戦いではありますが、毎日沢山の医師や研究者が治療や研究に取り組んでいるので、いつかは希望の光が見えてくると信じています。
ワクチンができるまではどうか油断せず、外出時は(顔が荒れても)必ずマスクを着用し、(手荒れをしても)手洗いや消毒を徹底してご自分をお守り下さい。

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