高脂血症について

高脂血症は、コレステロールや中性脂肪が多い状態です。
狭心症・心筋梗塞、脳梗塞など動脈硬化が原因で発生した病気を動脈硬化性疾患と総称します。
動脈硬化性疾患の主な危険因子として、高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙があります。
従来、高脂血症という名称が一般的でしたが、総コレステロールよりもLDLコレステロールこそが動脈硬化発症に最も深く関わっているという科学的根拠があり、また、HDLコレステロールが高いために総コレステロールが高いのは何ら問題がない、という点から、今日、脂質異常症という言い方が広がっています。
さらに、HDLコレステロールが低いと、特に40未満で、冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)のリスクが増します。逆に高いほどリスクは減少します。

脂質異常症の診断基準

採血は、原則「空腹時」(10~12時間以上の絶食)でお願いします。

LDLコレステロール(悪玉コレステロール)

140以上(120~139は境界域)

HDLコレステロール(善玉コレステロール)

40未満

中性脂肪(トリグリセライド)

150以上

中性脂肪高値

食事、飲酒、肥満、糖尿病などにより高値となります。
中性脂肪高値も冠動脈疾患のリスクと関連していると言われています。
空腹時150以上で冠動脈疾患の発症が増加します。

家族性高コレステロール血症

高LDLコレステロール血症、早発性冠動脈疾患、腱・皮膚黄色腫を3主徴とする遺伝性疾患です。冠動脈疾患のリスクが高く、厳格な治療が推奨されています。
LDLコレステロールが180以上を持続する場合は家族性高コレステロール血症の可能性を考えて薬物療法を考慮します。

喫煙

喫煙は、冠動脈疾患、脳血管障害、末梢動脈疾患の危険因子です。
さらに受動喫煙も、冠動脈疾患、脳血管障害の危険因子です。

女性

若年者や閉経前女性などはリスクが低く、生活習慣の改善のみで経過を観察する可能性がありますが、動脈硬化は潜在性に進行し、加齢とともに冠動脈疾患や脳血管障害の発症が増えます。
閉経の影響で50歳代以降は総コレステロール・LDLコレステロールともに男性より高くなります。

治療目標値

合併症がある場合、目標値は厳しくなります。

冠動脈疾患の既往のある方

LDLコレステロール100未満です。

糖尿病、慢性腎臓病、脳梗塞、末梢動脈疾患がある方

LDLコレステロール120未満です。

どちらの場合も

HDLコレステロール40以上、中性脂肪150未満も治療目標値です。

高脂血症の治療法

生活習慣の改善

1. 禁煙し、受動喫煙を回避する。
2. 過食を抑え、油を使う料理を控え、標準体重を維持する。
3. バター・ラード・肉の脂身・ベーコン、乳脂肪、卵黄の過剰摂取を控え、魚類、大豆製品の摂取を増やす。
4. トランス脂肪酸を減らすため、マーガリン・菓子パン・洋菓子・スナック菓子・カップ麺を控える。
5. 野菜、未精製穀類、海藻、きのこの摂取を増やす。
6. アルコールの過剰摂取を控える。
7. 有酸素運動を毎日30分以上行う。

薬物療法

LDLコレステロールを低下させるスタチン系薬剤が第1選択として使われます。
スタチン系薬剤の主な副作用としては、肝障害、筋肉の痛み・脱力・CK上昇などです。
副作用のためスタチン系薬剤が飲めない場合は、他の薬剤による治療も可能です。

高脂血症のよくある質問

「一度飲み始めたら一生か?」「薬の副作用はないか?」です。

自覚症状はないと思いますが、治療せず放置すると、狭心症・心筋梗塞、脳梗塞、慢性腎臓病などの動脈硬化性疾患の危険性が潜在性に増えるので、治療した方がより良いです。
そして、薬剤を内服し検査値が改善しても、高脂血症自体が治癒した訳ではないので、目標値を長期間にわたり維持するため、長期にわたる通院治療が必要です。
ただ、高脂血症は生活習慣病の1つであり、生活習慣の是正(カロリー制限・減量など)により効果が期待できます。
たとえ、生活習慣の是正だけで目標とする値が得られない場合でも、治療薬の効果を高め、薬剤の種類や用量を減らすことができるので、是非生活習慣の是正に取り組んでみて下さい。