嬉しいこと

こんにちは。
名古屋市中区の福澤内科・皮フ科クリニックの福澤加奈子です。

9月になりました。
まだ暑いですね。
皆様いかがお過ごしですか。

 

ブログを読んでいる皆さんはご存知かと思いますが、私はずっとブログをお休みしていました。

理由は色々あって…

 

今年は6月から非常に暑い日が続き、皮膚科が忙し過ぎて帰るのはいつも10時過ぎ。
家で残業をしても終わらず寝落ちする日々。

 

交通事故後に何ヶ月か整形外科に通ったのですが、最近また疲労骨折が悪化。

日々の診療が腰に悪いようで、体から軋む音がして、書きたいことがあっても診察をするのが精一杯の状態でした。

 

でも、今回私の心を大きく動かす嬉しいことがあったので、久々にブログを書こうと思います。

2週間前に私は名大皮膚科の膠原病で高名なM先生の退官前の謝恩会に出ました。

M先生にお世話になった皮膚科医が60人以上集まる盛大な会でした。

ご挨拶をした時に、M先生から私が5月に紹介した患者様が抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎だった、という事を教えてもらいました。

そして、M先生があの症状からよく見つけたねと褒めて下さったのです。

M先生に褒められる事は初めてで、慣れていなくて照れましたが、私はずっとその方はどうなったのだろうと心配していたので、何よりその患者さんの命が助かったことに安堵しました。

 

実は大きい病院に紹介すると、システム上患者様が病院に受診したことまではわかるのですが、最終的にご本人に聞くまで、どのような最終診断に至りどのように治療したかはわからない事があります。

皮膚筋炎は間質性肺炎を合併すると亡くなってしまう方もみえるので、時間が勝負になる非常に厳しい病気です。

採血では簡単に異常が見つからないタイプの方がいるため、皮膚症状や全身症状から疑って専門家に直結するように紹介するのがベストなんですが、皮膚症状から絶対皮膚筋炎だと確証を持てないこともあり、私はいつも悩みながら紹介をしています。

 

開業以来当院には6名の皮膚筋炎疑いの方がいました。
1人目は14年前で発見に時間がかかった皮膚筋炎、2人目は普通の皮膚筋炎で、3人目は名大に送りましたがM先生に違うよと言われ、後の2人は抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎でした。

 

抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎の場合、80%が急速に間質性肺炎になる、筋症状は乏しい、皮膚症状は多彩と言われています。
そもそも皮膚筋炎は、皮膚のどの部位に症状が強く出るかが人により違います。
典型的に症状が揃わない時は非常にわかりにくく、診断に時間がかかる時もあります。

私が診た抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎は手掌側にも症状がありました。手に力が入りにくい、朝に手がこわばるなど体調も含め以前と何か違う感じがすると言われていました。

その時に医師が何となくおかしい、と気付くかどうかなんですが、気付くような症状があるかは患者様が来られるタイミングにもより、お互いの運も必要だと感じています。

 

今回の患者様は仕事が忙しい方で、18時過ぎの混んでいる時間帯にご来院されました。

職業柄、元々手荒れがあり、身体もいつも疲れている方で、持参したリウマチや膠原病を疑った採血では異常はなく、総合的に皮膚筋炎を疑うものの断定は出来ませんでした。

ただ、もし放置したら亡くなられてしまうかもしれないと不安になり、休日にお電話したり紹介状を用意し準備をしていた結果、患者様が最短でM先生を受診して下さり、最悪の結果にはならずに済みました。

 

CADM(無筋症性皮膚筋炎)の診断は今から14年前、採血しても異常のない皮膚筋炎を疑う患者様を紹介して、M先生に治療して頂いた事に始まります。
その方は急速進行ではなかったものの、間質性肺炎を合併しました。

病気の概念を知らず、紹介するまでに数ヶ月かかってしまった後悔から、その後はなるべく早期の診断に繋がるように気をつけて診察を行うようにしてきました。

その時に入院させて頂いた患者様が今はお元気で活躍されている事をお伝えしたら、いやー、治療が上手くいかない場合だってあるよ、と謙遜されていました。
皮膚科の中では少ない、命に関わる病気に真剣に向き合っているM先生ならではのお言葉にはいつも重みがあります。

 

日赤時代の上司のA先生が強皮症や白血病と絡んだウイルス疹をあざやかに診断したり、M先生が難解な皮膚筋炎を一見して診断したりするのを見ては、いつかは皮膚を診て一瞬で言い当てられる皮膚科医になりたい、と思ってきました。

ただ、やはり診断力は努力した時間に比例しており、世の中にはそういう名医の先生がいる一方で、私はいつも低空飛行を続けていました。

患者さんに向き合う誠実さや優しさは常識として必要ですが、私の中では正確な診断、治療のできる先生が1番の理想でした。

 

30年近く仕事をし続けてきましたが、交通事故をきっかけに最近あまりに身体がしんどいので、この先仕事を続けるべきなのか、やめるべきなのかを考えていました。

そんな私に嬉しいことが。

先週、その皮膚筋炎の患者さんが、退院したと挨拶に来て下さったのです。

名大に行った時に間質性肺炎になっていて、あの時にここに来ていなかったら死んでいたので、絶対に感謝を伝えようと思い来ました、と。

もう涙出ちゃいますよね…

いや、患者様に運があったんです。
私の方が勇気付けられましたって、お話しました。

 

細々とでもずっと皮膚科医を続けて来て良かった…
こういう患者様の言葉が医者をどれだけ救っているか…
ありがたいことだと思います。

今まで自分の知識不足で救えなかった方もきっと沢山いることでしょう。
振り返ると苦しくなりますが、その苦しさを今後の診療にいかせるように、身体が許す限りはもう少しだけ頑張りたいなと思います。

 

自分の体力的な問題があり、10月からは持続可能な診察を目指し、午後の受付時間は30分早い18時半までとします。
その代わり金曜日は16時半から、第1・3土曜日は9時から診察を始めます。
ご理解のほど、よろしくお願いいたします。

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